作品– category –
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ショート小説コンテスト『サンタクロース~試験~』
「次、396番、山田」 「あ、はい…」 モデルハウスの前に立った。最近のトレンドでは玄関から侵入が多いらしく、そのためか仲間にもピッキング技術に長けた者もいたが俺はそんな技術には頼らない。昔ながらに煙突からの侵入がカッコイイと思っている。 しか... -
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ショートショート『本当になった嘘』
「昨日の夜、何してたの?」 「外食してたけど」 「誰と?」 「なんでそんなこと聞くの?」 「あなたが女の子と一緒に歩いているのを見たって子がいるの」 「ああ、あれは妹だよ」 「本当に?」 「本当だよ」 「そうなんだ、よかったぁ」 「心配かけてごめ... -
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ショート小説コンテスト『タータンチェック~絆~』
「それじゃあクレアもやってみなさい」 そういうとお母さんは鈎針付きの糸を渡してきた。 私はそれをあらかじめ取り付けられた12本の糸の間へとゆっくり通していく。 通常、タータンチェックの編み込みでは、縦糸2本ごとに横糸が潜り抜けていくものであ... -
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ショートショート『秘め事』
本来の通学路から外れて寄り道をしている場所があった。サルビアの花が植えられてある公園だ。買い食いなど許されなかった小学生時代の学校帰りには、花の甘みを味わうことさえも大事な楽しみであったのだ。 その日、一人で帰っていた私がいつもの... -
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ショート小説コンテスト『奇跡~同じ持ち物~』
ガチャン、と大きな音がした。何事かと思ったカウンター席の女が読んでいた本から目線を変えると、隣の席に座る男がカップを倒していた。テーブルにコーヒーが広がっていく。 「ああ、すみません!」 男は素早くハンカチを取り出し女の所までコーヒーが流...