1週間で体重が5kgも減ってしまい、「あ、これ、消滅していしまうんじゃないだろうか…」と思ったところから、この本を読むことを決めた。
古びたコテージの狭い部屋。
一人の男が別の人物の身分を得て、なり替わろうとしている。
机の上には一冊の手記。
恐らくその人物が書いたものだった。
すでにページが開かれた手記はこのように始まる。
このページをめくれば、
あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。
それを読む男を待ち受けるのは、狂気か救済か。
体重が減って消滅する、とかふざけていられる物語ではなかった。
私は本当に私であるのか。
身分証明書のようなちっぽけなものでは自分自身の証明にもならない。
かといって自分を証明する術など何もない。
この人生も誰かにコントロールされて生きているのかもしれない。
そんなことを考え不安になり、だからと言って何もできない無力さを感じる。
冒頭の文章が太字だったり、途中は斜め文字だったりと、文章の内容だけではなく、字体でも不安感を煽ってくるのは興味深かった。
作品の考え方は夢野久作の『ドグラマグラ』に近いと思う。
コメント
へー、なりかわりものですか、でも、奥が深そうですね、この本は。
アマンさん
なりかわりものなんですけど、それはどういう目的で行われたのか…物語の中盤でわかります。
どういう発想からこの物語を思いついたのか気になります。