ただの日記です。暗いことばかり書いてます。
社会人になって一番大変な期間だったと思う。
理学療法士は経験年数が3年以上になると、学生を指導するバイザー(スーパーバイザーの略、監視者という意味)になることできる。お世話になった大学から依頼されて4年目の自分も学生の指導をすることになった。
学生の頃は大学でも色々な先生に迷惑をかけてしまったので、かつての問題児の様子を確認するために学生を使って見に来たのではないかという被害妄想をしていた。
一月末から四週間の評価実習
学生に症例患者さんを受け持たせて、実際に評価させ、レポートを書かせる。
それ以外の時間は僕の治療を付きっきりで見学させる。
学生は毎日僕に出された課題を記載するデイリーノートと、受け持った患者さん対する症例レポートを書いて提出する。
学生はしんどいだろうし、毎日睡眠時間を削って頑張っていると思う。
それは分かっている。だがバイザーもしんどい。見学中は学生に教えながら患者さんのリハビリをする。毎日業務時間外にデイリーと症例レポートを読んで学生にフィードバックする。こっちは仕事もしてんのに、とか思ってしまう。仕事でもミスが多くて他のスタッフにすげえ迷惑をかけた。
上手く気を抜けなかった自分も良くないが、今回は出し惜しみせずに教えられることは何でも教えようと思った。自分が4年間で得た知識や技術が、学生に指導する4週間で尽きるかどうかを確認してみようと思っていた。
二週目、大学の先生が実習地訪問に来たときは怖かった。
大変お世話になった先生だったが「学生時代と変わらず自信のない自分」を見られるのは嫌だった。学生の様子は説明できるが、症例患者さんに対する自分の考え方をはっきり言える自信がなかった。
先生との会話は、実習中の学生の様子についてがほとんどだった。かつて学校に迷惑をかけた学生だったとしても、今は一応理学療法士として働いている。そりゃ大学の先生としてもかつでも問題児よりも現在の問題児の心配をするだろうな、とそのときようやく気がついた。自意識過剰だった。学生については地頭の悪さを感じたが、笑顔や患者さんへの受け答えは素晴らしいので、高齢者の中ではアイドルになれるだろうという話をした。
この週に松野莉奈さんが亡くなり、学生を指導する精神ではいられなかった。
同僚だけでなく学生にも気を使われていた。
三週目、ある日学生のフィードバックをしていると、学生がなんだか臭く感じた。
「きみ、なんか臭わない?」と言おうと思った。ドブのような腐った臭いだった。
家に帰って冷静になってみると臭いの発信元が自分であることに気がついた(もしかしたら違うかも知れないけれど、そんな気がして仕方がなかった)
この指導期間中に色々なことが起きて、部屋は散らかり、食生活も乱れ、睡眠も不足し、ストレスが溜まっていったことが原因だと思う。これはいけないと思い、急いで部屋を片付け、しっかりお風呂にも浸かり、ご飯もちゃんと食べて、しっかり寝たら、臭わなくなった。
四週目、学生による症例報告会。
学生の発表後に、同僚から質問されるが「学生の考えなので」で逃げ通した。
「学生を指導する立場ではあったが、もっと他のスタッフに相談して欲しかった」と言われたが、何も分かっていない自分を隠したかったので言えなかった。
評価実習の翌週から見学実習(一週間のみ)
こちらは技術などない一年生。それにしては筋肉の走行は何でも答えられていたし、一年生の割には解剖学の知識は素晴らしかった。
だが言葉遣いがひどく、「ありがとうございます」を「あぁす」と、「いいですか?」を「いいすか?」と言っていた。最もショックだったのは患者さんに見学の許可をもらう際に「見学させて頂いてもよろしいですか?」ではなく「見てもいいですか?」と尋ねていたことだ。
どれも1,2回注意すると自分で気づけるようになっていたので良かった。
実習生にとって大事なのは、知識や技術の有無よりも、患者さんと笑顔で接し適切な敬語を使えるがだと思った(というかこれはできて当たり前ではないのか…)
多くの人に「指導者になることで自分も成長できる」と言われたが、全くそんな気がしていない。唯一、救いがあるとすれば評価実習の学生に「実習でこんなに熱心に指導して頂けたのは初めてです!!」とめちゃくちゃ嬉しそうに言ってもらえたことぐらいだ。
理学療法士になるために誰もが通る道なんだよな。自分もこんな時代があったな。くそ迷惑かけてたから少しは大学にも恩返しできたから良かった。