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ショート小説コンテスト『ゴミ箱~価値を分ける~』
ゴミ箱は存在価値のないものを入れる場所でもあり、入れた物の存在価値をなくしてしまう場所でもある。 一枚の写真を持っていた。数ヶ月前まで付き合っていた彼女との写真だ。二人で旅行に行ったとき、たしか有名な神社の前で撮ったものである。二... -
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ショート小説コンテスト『電池~なにで動くの?~』
一週間に休みが二回あるとして、その二回が土日に固定されているとすれば、必然的に最も疲れているのは木曜日となるらしい。そんな一日を乗り越えて私は自宅に帰ってきた。 ただいま、という声も出なかったが、扉の開く音を聞いて、娘は父親が帰ったこと気... -
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ショート小説コンテスト『初雪~知らないところで~』
「ミートソーススパゲッティをひとつ」 注文をしてからジャケットを脱いだ。 季節は5月。ここ稚内では先月ようやく終雪を迎えたところだった。 稚内が好きだ。かなり寒い地域ではあるが、日本で最も早い初雪が見られる地域であるためとても入っている。 ... -
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ショート小説コンテスト『カップ麺~上手な使い方~』
隣のデスクからピッと電子音が聞こえた。どうやら先輩が家から持参したキッチンタイマーを使っているようだ。デスクの上にはカップ麺、おそらく3分間を正確に計るためだろう。僕もお昼ごはんを買うためコンビニにでも行こうと思ったとき、急に先輩が大き... -
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ショートショート『ねこ』
「俺、猫が苦手なんだよね...」 「なんで?」 「せっかくあげた餌に砂をかけて食べないことあるし...」 「それは美味しいエサを隠しておこうとしてるんだよ」 「俺だって苦手な熱い料理を頑張って食べてるのに…」 「お前の舌、猫じゃん」 「...