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ショート小説コンテスト『犬~序列~』
「犬、飼いたいんだけど…」 娘の塾と私の仕事、その両方の都合が良くて家族三人が揃った 数少ない夕食の機会を狙って恐る恐る尋ねてみた。 「ええー。誰が世話すんのよ?」 「もちろんお父さんがするから」 「ん、なになに、お父さん犬飼うの?」 娘はテレ... -
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ショート小説コンテスト『映画~初デート~』
周りに座っている仲の良さそうな大人の男女を見ていると、僕と恵美ちゃんもカップルに見られているのだろうと思って嬉しくなったが、隣に座る恵美ちゃんはそれほど楽しそうな表情をしてはいない。 「映画、楽しみだね」 何を話せば良いのかわからずに場繋... -
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ショート小説コンテスト『望遠鏡~親子で~』
晴れた日の夜には無数の星が輝いている。それは人間が作り出した光の多くを排除できたからこそ見られるものだ。私は望遠鏡を通してこの星を眺める度に都会を離れて良かったと思う。 しかし、息子はそうでもない様で、いつも「ここはつまらない」とばかり呟... -
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ショート小説コンテスト『キャンプ~得たもの~』
「どうだ、楽しいだろ?」 友人に言われて「ん、まあ」としか答えなかった。 どうやら俺は都会に染まりきっていたようだ。何もかも手に入る環境で、何もかも手に入れようとして、全てを手に入れられなかった。そんなときに彼がキャンプに誘ってきたのだ。 ... -
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ショート小説コンテスト『信号~抵抗~』
「締め切り、明日ですよね?」 「だが明日は最終チェックのための予備日なんだぞ」 「作業も、チェックも、両方まとめて一日でやれますって」 「こういうのは時間を空けるからミスに気づけたりするものなんだ」 「部長、俺、今日はどうしても大事なイベン...