小説レビュー

『手すりほしい女/かんの』の解説

書けるか心配になる

かんのさんから依頼されてすぐの私
「解説書いてみたかったから嬉しい」
 
だけどしばらくして
「いや、本当に書けるかこれ…」

かんのさんの短編小説には
女性と恋愛が絡んでくる。
恋愛に失敗してばかりの私は
書けるか心配になった

私と「女」について

(女なんて普段から言ったことない……)
誰のためか知らんけど、私の恋愛を書く

元カノの好きだったバンド聴けない

大学5年のときの彼女には浮気されてた。
(skype越しに言われてそのまま別れた)
その人のオススメされたバンドは
今でも聴くことを避けている。

喧嘩中にご飯が食べられなくなったことがバレて振られる

同じ職場の人と付き合ってた。
「会うの控えよう」と言われて
辛くなって胃が痛くて、
ご飯が食べられなくなった。
 
同じ職場内なので、
簡単に伝わってしまって
「そういうのもイヤ」と
振られてしまった。

「手すりほしい女」の女について

「残念な女性」ばかり

この作品を通して登場する女性は
みな「残念な女」ばかりである。
 

  • 『好きならば』では仕事のこなし方が残念な女
  • 『上手な別れ方』では残念な表情をした女  
  • 『一方その頃』では残念ながらひとりになった女

 
その中でも私が好きな二編を紹介する
 

今の女へ便りを綴る『返信』


元彼の今カノ(顔も知らない相手)からの
手紙に対する返答を綴った『返信』
元カノの語り口調で書かれている。
 
ちなみにこの今カノ、
元カノに対する宛名は
敬称を省いて書いた(らしい)
読み始めて3行で残念だった。
 
 
『わたしが彼の元を離れたのは親の勧めがあったからで、』
という一文から、男が信頼に値する相手でなかったと推察できる。
 
ここで私が気に入った文章を引用する

いいですか、あなたはバカだから教えておくけれど、あなたもわたしみたいになる得るということですよ。

p89より

会ったこともない相手に「バカ」と
言い切ってしまうところが気持ちいい。
  
「過去に残念だった女性」から
「現在の残念な女性」に向けた言葉となるか。

幸せになりたくない『ロベッカの夢』

青い鳥を探しに毎日赤い森へ行く女の話
(赤い森には赤い鳥しかいない)
 
(ネタバレになるが…)
最終的に彼女は青い鳥を見ても
「それは青い鳥ではないわ」
と燃やしてしまう。

彼女の場合は
「幸せから目を背ける」残念な女だ。
自分の幸せの基準は明確にある
(青い鳥を手に入れること)にも関わらず、
いざそれが目の前に現れても否定をする。
幸せと向き合おうとしない。 

ここまで来ると、
「幸せになりたくない」としか思えない。
自分でも気づかず無意識のうちに
「幸せにならない道を選んでいる」ようだ。

タイトルの「手すり」とは?

「手すり」について考えてみた。

  • 支えになるもの
  • 一緒に歩いてくれるもの

と言い換えられるか。

例えば『返信』の今カノにとっては
彼が手すりの役かも知れない。

『ロベッカの夢』のロベッカにとっては
青い鳥……ではなくて、
「青い鳥を闇雲に探す自分」が手すりか。
だから同居人に実物の青い鳥を見せられても
それを否定するかのように燃やしたのだ。

これは完全に余談だけど

先に書いた残念な私にとって手すりは
「一緒にいてくれる彼女」だったわけだが
そんなんだから残念なのであって、
「人に左右されないブレない指標」が欲しい。
そうすれば恋愛に振り回されることなくとも
立っていられるのに……