『薬指の標本/小川洋子』女性は絶賛し、男性はあんまり…

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楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡……。人々が思い出の品々を持ち込む〔標本室〕で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そしてわたしは……。奇妙な、そしてあまりにもひそやかなふたりの愛。

この本の面白いところは、読者の性別によって感想が異なることだ。
女性は絶賛し、男性はあまり興味を示さない。
レビューを見ても、女性は高評価で男性は中・低評価をつけていることが多い。
そういう僕も女性からオススメされて読んでみた。

男性の僕が読んだ感想としては…「女性はこういう話が好きなのか」という感じ。

(ここからネタバレ含む)

標本技術士からプレゼントされた靴を履く”わたし”、靴屋の男性から「この靴に侵食されている」と教えられても履き続けている。

ラストシーンで標本技術士の部屋をノックする”わたし”は明らかに自分も標本になるつもりなんだろう。これより数ヶ月前に客できた若い女性が標本になった(と思われ)、自分の知らない標本技術士を知っている人間に対する嫉妬も含まれるのだろうか。

「誰かのための自分でいたい」という気持ちはわからなくもないが、「それだけのための自分でも良い」という考えはできない。

あと、これは僕の推測の話…
靴屋の男性が「四十二年前に会った兵隊さんも同じ靴を履いていた」と話しているが、おそらくこれは標本技術士のことで、その靴を履き侵食されることで標本化(不老化)をしたのではないか…と。
まあ、それについても言及されないまま終わるのも良いかな。

こんな風に顕著に好評と不評が分かれる本をもっと読んでみたいと思った。
「こんなのあるよ!」という本があればぜひぜひ!

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