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ショート小説コンテスト『白のセーター』感想

久しぶりのショートショート感想です。
順番がぐちゃぐちゃなんですけど、第一回のテーマについて書きます。
ちなみにこの企画は2015年の年末に大阪で行われたタダしいyouに見える飲み会でマスダさんとの相談から始まりました。そして第一回のテーマはタダシゲさんがその飲み会で白のセーターを着ていたことに由来しています(この企画ももうすぐ一年になるんですね…)

 

白いセーターを着て女性を油断させる結婚詐欺師が女性に刺される話。

まずはじめに白色から連想する言葉を書き出し”清潔、純粋”などの良いイメージばかり連想されるので「それを逆手に取ってやろう!」と考えた。好印象で塗り固められた詐欺師には毛糸の暖かさは丁度良かった。

「不機嫌になっている彼の目、その目には騙されて身体も心も弄ばれた女性の苦しむ顔が映っていました」というのは、ナイフで刺した女性も、結婚詐欺師の被害者であることを指している。男が誰か気づかないレベルで女性の容姿が変化しているのだと思う。

女性が詐欺師をすぐに刺さなかったのは、白色から連想される言葉である”降参”の描写を入れたかったから。

「白のセーターの一部である白の毛糸はナイフの刺さった腹部から血液を吸い取り、隣の毛糸へ、またその隣の毛糸へと、次々に赤を伝えていきました。」という描写がすげえ好き。
他の色に侵食されやすい白色と、血液を伝えて行く毛糸のセーター。白のセーターだからこそ生まれたシーンだった。

ちなみにラストの「白のセーターから着替えてもらいました。結婚詐欺師のあなたにお似合いの色だと思いますよ」というのは、結婚式の”お色直し”と少しかけていたり、もう一つ警察関係の隠語として素人同士の詐欺を”白詐欺”というのに対して、結婚詐欺師は”赤詐欺”と言われるため。

 

彼女とのデートに「白のセーターで合わせよう」と伝えた男、彼女がベージュのセーターを着てきたことで、自分のサブさに泣きそうになる。

彼女の着たベージュのセーターは「少し汚れた世界にうまく馴染んでいた。」と書かれてある。これは元より彼女は着慣れていたのだろう。
それに対して男、流行の色は白ということで「流行に乗っている俺たちカッコイイ!」となりたかったのだろうか、悪臭というのは新品の服にある特有の臭いのことなのかも。

「僕は永遠とも思える瞬きをする→凄まじい悪臭がする」では視覚を遮断することで嗅覚がが研ぎ澄まされている。
「永遠とも思える瞬き」と言いたくなるほど異彩を放った自分でありながらのデートが嫌なんだろう。

「薄汚れた世界」「ダークグレーになった世界」は曇り空のことか?
確かに曇り空よりも青空の方が、白いセーターは似合いそうだ。

「僕の一方的な発言。一方通行の気持ち。相槌を打ちながらも僕はなんだか泣きそうだ」では相槌も打ってはいるが、一方通行の気持ちなので、彼女の言葉が男の脳まで届いていない。
最初と最後に「僕は何も尋ねない」と書かれており、まとまりがあるように書かれてある。

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