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ショート小説コンテスト『鳥居〜闇と光〜』

鳥居、それは日本の神社の使いであるニワトリが休む場所であった。
それ以外にも結界として神様に近づく悪しき者を拒むこともしていたそうな…

俺の名前は米田啓太郎。どこにでもいる中学二年生だ。ちなみに彼女はいない。
しかしこれは単なる表の顔に過ぎない。
俺の本当の名は“ダークマッドハンター”である。
前世は狩人で、そのときに神社の使いであるニワトリを何匹も殺して処刑されたのだ。
そんな悪しき前世であるから、光属性エネルギーが強い神社に近づくと、闇属性の俺は体力が消耗してしまうのだ。
その中でも鳥居というものは、その下を通る人間が光属性か闇属性なのかを判別することができ、闇属性の者が通ると一瞬で消滅してしまうと言われている。
俺は今世で何度か、表の顔である“米田啓太郎”として家族と一緒に「初詣」という儀式のため神社を訪れることもあったが、そのときは鳥居の外側を通って儀式を行い、なんとかエネルギーの消耗を抑えていた。
“米田啓太郎”の家族は不思議に思っていたが、これは俺が“ダークマッドハンター”して生き延びるためにとった苦肉の策だったのだ。

そんなある日、俺のことを呼び出す人間がいた。
それは“米田啓太郎”である俺と同じクラスの女子生徒だった。
そして、そんな彼女が待ち合わせの場所に選んだのが鳥居の前であった。
なぜあの女子生徒はこんなところを待ち合わせ場所に選んだのか、もしや彼女は光属性の者で、俺が“ダークマッドハンター”であると気づいて始末するつもりなのか。

「米田くん、おまたせ!」
「ああ、う、うん」
ついに来たか、光属性の者よ。俺をどうするつもりなのだ。
「じゃあ行こうか!」
「えっ?」
そう言うと彼女は俺の腕を掴んで、鳥居の方へ進んでいく。
「えっ、ちょっと、えっ?」
“ダークマッドハンター”の名を持つ闇属性の俺は、結界である鳥居を通り過ぎてしまった。
「うおおおおおお!」
「どうしたの?」
「あれ…いや、ごめん、なんでもない」
鳥居の結界によって消えてしまうと思ったが、通り過ぎた後も身体は無事だった。
そうだ、俺はこの一瞬だけ“ダークマッドハンター”ではなくて純粋に平凡な中学生である“米田啓太郎”であったのだ。そうだ、きっとそうだ。
腕を引かれて、賽銭箱の前にいた。隣にいる彼女はピンク色の財布から何枚もの五円玉を取り出している。
「あ、あのさ、なんで僕をここに連れてきたの?」
「この神社は恋愛の神様がいることで有名らしいんだ。はい、これ米田くんの分」
「あ、ありがとう」
俺は素直に五円玉を受け取り、賽銭箱へそっと落とした。
そして手を合わせて静かに祈った。
闇属性なのに結界を通ってしまったけど、消されませんように。
あと、できればこれからもこの子と一緒に神社へ来られますように。

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