「ルノワールって東京の喫茶店だろ?」くらいの知識でした、すみませんでした。
ルノワールが生きた19世紀後半から20世紀初頭の産業革命によって近代化が進んだ時代の、光と影、都市と田舎を描いた作品が集まっていた。
「木陰に座る羊飼いの娘/ミレー」は木漏れ日の当たる感じが素敵だった。なんというか、この絵の範囲だけを考えているのではなくて、絵に描かれていない太陽も見えているのだな、と思った。
「雪空のクリノリン・スカート/オノレ・ドーミエ」はダンスパーティへ向かう女性のドレスに雪が積もっている。傘よりもドレスの方が大きいからである。「お嬢さん、お払いしましょうか?」という声が聞こえてくる。ドーミエの風刺画は見ていてニヤリとした。
「ブージヴァルのダンス/ルノワール」はこの企画の表紙にもなっている作品。米国ボストン美術館で最も愛されている作品らしい。都市で流行っている服装をした娘と田舎のスタイルの男性が踊っている。
地方の素朴さ・貧しさ、都会の華やかさ・皮肉、貧富の差、色々な作品を描く画家がいたけど、都会の人間と田舎の人間は実際こんな風に仲良く手を取り合って踊っていたのだろうか。
自分はブラックユーモアのようなショートショートを書くことが多いのだけど、もしも自分が絵を描くとしたら、どんなものを描くだろうか。
例えば先日書いた『水槽~支配している~』ならば、水の入った一面ガラス張りの教室で、尾ヒレのついた小学生を何人も泳がせる。新人教師は息がしにくく苦しんだ顔をさせて、ベテラン教師が透明な天井から覗き込んでいる…という感じだろうか。
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